神経質で胃腸が弱いく、風邪で頭痛、発熱、悪寒、胸やけ、吐き気があるが、胃腸が弱くて普通の風邪薬が飲めない人の風邪の初期に用いる処方です。また、神経質、神経不安、魚の中毒などにも応用できます。
神経症に用いられます。胃腸が弱く、神経質で、不安や不眠があり、胃内停水がみられる場合に有効です。
香蘇散(こうそさん)の効能
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香蘇散(こうそさん)の解説
ストレスに処方される漢方薬
香蘇散は神経質な人に向く薬とされ、漢方では「気うつ」の状態ととらえられる、ストレス性の病気にもよく用いられます。
機能性ディスペプシア(胃腸症)や過敏性腸症候群、神経症、自律神経失調症、心因性頭痛、不眠、不安、抑うつなど、多様な病気や症状に処方されています。
月経困難病や更年期障害でも、ストレスのかかわりが強いと考えられる場合に用いられることがあります。
胃腸が弱い人、高齢者や妊婦の風邪に処方
また香蘇散は、虚弱で胃腸が弱い人に向く漢方薬で、風邪のひき始めによく用いられます。症状としては、軽い悪寒や頭痛、鼻づまり、食欲不振などで、多くの場合、熱はあまり高くありません。
「麻黄」を含まないため、「葛根湯」などで食欲不振を起こすような人に勧められます。高齢者や妊娠中の女性にもよく処方されています。
香蘇散という名前は、「香附子」と「蘇葉」を主薬とするところから名づけられています。「香附子」は滞った「気」を巡らせて消化機能を高め、「蘇葉」はかぜのとき体表部にうっ滞すると考えられている「寒の邪気」を発散させます。
適応される症状
- 風邪
- じんましん
- うつ病
配合生薬
配合生薬の効能
香附子(こうぶし)
香附子は主に生理痛、生理不順に効果があります。これは有効ン成分セスキテルペニイド、ことにαーシペロンの鎮痛作用、子宮弛緩作用によります。
また、慢性胃炎、十二指腸潰瘍、神経性胃炎などにも広く利用されますが、やはりαーシペロンに炎症物質のプロズダグランジン生合成阻害作用があり抗炎症効果を現すためです。
陳皮(ちんぴ)
陳皮はミカンの皮を、天日乾燥させた物です。リモネン、テルピネオールといった芳香性のある精油成分を豊富に含んでいるため、胃液分泌促進作用、胃運動亢進作用や抗炎症、抗アレルギー作用があります。漢方では、芳香性健胃薬や駆風(腸管にたまったガスを排出)、食欲増進、吐き気止めなどを目標に処方されます。
また、精油成分には一般に発汗作用があり、初期の風邪などに効果があります。入浴剤として利用すると血行をよくし、肌を滑らかにします。
蘇葉(そよう)
蘇葉は発汗、解熱、鎮咳、鎮静薬として風邪の治療によく利用されますが、この他に精油成分のペリルアルデヒドやメントールには鎮静作用、抗アレルギー作用、免疫活性作用などが認められています。
漢方では、風邪薬や鎮咳去痰薬とみなされる配剤に処方されています。
また精油成分には食欲増進作用や胃酸過多による潰瘍を抑制する作用がある他、抗菌作用があるので魚肉などの中毒予防に使われています。
甘草(かんぞう)
甘草は漢方治療で緩和、解毒を目的として、いろいろな症状に応用されますが、主として去痰、鎮咳、鎮痛、鎮痙、消炎などです。
有効成分のグリチルリチンには、痰を薄めて排除する作用があり、体内で分解するとグリチルレチン酸となって咳を止めます。
その他、グリチルリチンには多種多様の薬理効果が有り、消炎、抗潰瘍、抗アレルギー作用の他、免疫活性や、肝細胞膜の安定化、肝保護作用、肝障害抑制作用などが明らかにされています。
有効成分イソリクイリチンおよびイソリクイリチゲニンは糖尿病合併症の眼病治療薬として、また胃酸分泌抑制作用もあり胃潰瘍の治療薬として期待されています。
甘草はあまり長期服用しますと、低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、体重増加などの副作用が現れることがあるので、注意を要します。
生姜(しょうきょう)
生姜は優れた殺菌作用と健胃効果、血液循環の改善効果、発汗と解熱効果があります。漢方では芳香性健胃、矯味矯臭、食欲増進剤の他、解熱鎮痛薬、風邪薬、鎮吐薬として利用されています。
辛味成分のショウガオールやジンゲロールなどに解熱鎮痛作用、中枢神経系を介する胃運動抑制作用、腸蠕動運動充進作用などが有ります。そう他、炎症や痛みの原因物資プロスタグランジンの生合成阻害作用などが認められています。
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うつ病に処方されるその他の漢方薬
実証
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
抑うつ、神経症に用いられます。不安、イライラ、不眠、動悸、驚きやすい、胸脇苦満、めまい、のぼせ、 疲労倦怠感などがあるときに有効です。 - 大承気湯(だいじょうきとう)
神経症や便秘などに用いられます。のぼせやほてり、口渇などがみられる場合に有効です。 - 女神散(にょしんさん)
自律神経失調症にともなうのぼせやめまいのほか、神経症、不眠症などに用いられます。頭痛、動悸、不安 、肩こりなどがある場合に有効です。
中間証
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
抑うつ気分、思考抑制、不安感、焦り、不眠、疲労感、無気力などの症状の場合、多くの方に適合すると思 われます。女性の更年期障害、月経不順・月経困難症、自律神経失調症などにも用いられます。 - 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
頻尿に加えて、気分がふさぎがちで、不安が強く、神経過敏ぎみの場合に有効です。 - 柴朴湯(さいぼくとう)
気分が沈んだ状態の時に用いられます。食欲不振、疲労倦怠、さらに、のどや食道に異物感がある場合に有 効です。
虚証
- 加味帰脾湯(かみきひとう)
うつぎみ、神経症、自律神経失調症、不眠症などに用いられます。胃腸が弱く、血行不良で貧血ぎみ、動悸 や寝汗などの場合に有効です。 - 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
神経症、心臓神経症に用いられます。やせて血行不良、疲労倦怠、冷え、貧血、神経過敏などがある場合に 有効です。
漢方薬は、自分の証に合ったものをお選び下さい。
「証」とは体力、体質、症状などから患者さんの状態を総合的に観察した診断結果のことです。
- 実証は生理機能が高まった状態を意味して、外見は健康そうに見えます。
- 虚証は体力がなく、生理機能が衰え、抵抗力も低下した状態を意味します。
- 中間証は実証または虚証のどちらも偏らず、それぞれの特徴を半分ずつもつ場合を意味します 。
「証」の判定は証の自己判定テストご利用くだ さい。
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